絵のような現実・写真のような現実
前回に引き続き飯沢耕太郎の『写真の力〔増補新版〕』より。本書収録の「旅の眼・旅のテクスト――「横浜写真」をめぐって」の中で、飯沢は「横浜写真」に触れている。横浜写真とは、「幕末から明治末に至る時期に、主に横浜にスタジオを構えていた写真家たちによって撮影・製作され」、「旅行者(特に外国人)向けの土産物として売り出されたもの」である。その中の一人「イタリア・ヴェネチア出身の帰化イギリス人フェリックス・ベアト」によって撮影された「その一枚一枚の写真には横浜在住の軍人ジェイムズ・ウィリアム・マレーによる解説シートがつけられていた」という。以下に引用するのはその解説シートの特徴分析。文中にはルビがふられている箇所があるが、ここではルビ入力ができないので、その文字の後に括弧〔〕で記載する。マレーの文章に特徴的なのは、ひんぱ...絵のような現実・写真のような現実